ROAは、会社が保有するすべての資産を使って、どれだけ効率よく利益を生み出したかを見る指標です。日本語では「総資産利益率」と呼ばれます。
ROAとは
ROAは「Return on Assets」の略です。工場、店舗、現預金、売掛金、在庫など、会社が事業に使う資産全体と利益の関係を示します。
企業は、株主から集めた自己資本だけでなく、銀行借入や買掛金などの負債も使って資産を保有します。ROAでは資金の調達元を区別せず、会社全体の資産が利益へつながっているかを確認できます。
ROAの計算方法
よく使われる計算式は次のとおりです。
ROA(%)=当期純利益 ÷ 総資産 × 100
期中の資産変動をならすため、期首と期末の平均総資産を分母にする場合があります。
平均総資産=(期首総資産+期末総資産)÷ 2
ROA(%)=当期純利益 ÷ 平均総資産 × 100
計算例
当期純利益が6,000万円、期首総資産が18億円、期末総資産が22億円の会社を考えます。
- 平均総資産:(18億円+22億円)÷2=20億円
- ROA:6,000万円÷20億円×100=3%
平均20億円の資産から、3%に当たる6,000万円の最終利益を生み出したことになります。
分子には複数の考え方がある
ROAには唯一の計算式があるわけではありません。目的によって、分子に当期純利益、営業利益、経常利益、または支払利息控除前の利益を使うことがあります。
- 当期純利益を使う:最終的な利益と総資産を比較する
- 営業利益を使う:本業が資産をどれだけ効率的に使ったかを見る
- 経常利益を使う:財務活動を含む通常の経営活動の成果を見る
異なる企業のROAを比較するときは、数字だけでなく計算定義が同じかを必ず確認します。
ROAの目安を見る方法
適切なROAは業種によって大きく異なります。大型設備や多額の在庫が必要な業種では総資産が大きくなりやすく、ROAは低く見える傾向があります。一方、設備をあまり持たないサービス業では高くなりやすいことがあります。
したがって、同業他社、過去数年の推移、企業が開示する目標値と比較するのが基本です。単年度だけでなく、利益の増減と資産の増減を分けて確認します。
ROAを改善する方向
ROAは「売上高利益率×総資産回転率」と考えることができます。
- 利益率を改善する:販売価格、商品構成、原価、経費を見直す
- 資産回転率を改善する:在庫を適正化し、売掛金を早く回収する
- 不要資産を減らす:遊休設備や使用していない資産を見直す
将来の成長に必要な設備投資を減らせば、短期的にはROAが改善する場合があります。しかし、長期的な競争力を損なう可能性もあるため、数字だけを目的にしないことが重要です。
ROEとの違い
ROAは総資産、ROEは自己資本を分母にします。借入が多い会社では、総資産に占める自己資本が小さくなるため、ROAが低くてもROEが高くなることがあります。収益性を見るときは、ROA、ROE、自己資本比率を組み合わせると全体像をつかみやすくなります。
まとめ
ROAは、会社の資産全体が利益を生み出す効率を示す指標です。比較時には分子となる利益の定義をそろえ、業種、時系列、設備投資の状況も確認しましょう。